集中力は必要ですか?
と聞かれたら、
と思いますよね。
なぜなら
- スポーツでも「集中!集中!」とかけ声をかけます。
- 勉強でもだらだらよりも集中して勉強した方がいいに決まっています。
でも、
今回ご紹介する森博嗣さんの本『集中力はいらない』を読むと、何事にも集中力は必要と盲目的に考えることは、間違っているのではないかと納得します。
森博嗣さんの
- 『集中力はいらない』
をご紹介します。
これからますますAIやロボットの時代になります。
将来をわたしたちが生きていくうえで、AIやロボットにはできない「人間力」(人間ならではの力)の価値はますます高まるでしょう。
集中力とは一つのことに取り組む能力です。
- それだったら、AIやロボットでもできますよね。
- 人間よりもはやく、正確に。
今回ご紹介する本を読むことで、
- そんな時代に人間ならではの必要な能力とは何か
- 集中力とどう向き合っていくか
を考えるきっかけになると思います。
著者のプロフィール
著者:森博嗣(もりひろし)
小説家、工学博士。
名古屋大学工学部建築学科卒。
元名古屋大学助教授。
大学で働きながら、庭園鉄道(庭に小型の鉄道を走らせる)のお金を作るために小説を書き始めたという、あくまでも仕事や小説は鉄道を作るためという目的だったようです。
受賞歴(Wikipediaより)
- 1989年 日本建築学会奨励賞
- 1990年 日本コンクリート工学協会賞
- 1988年 セメント協会論文賞
- 1990年 日本材料学会論文賞
- 1989年 日本建築学会東海賞
と仕事上もたくさんの賞をもらいつつ、350冊以上の小説をはじめとした著書があります。
多彩な才能
自宅に庭園鉄道を作っています。
- 庭園鉄道の本も5冊出版されました。
テレビドラマでも、「すべてがFになる」というフジテレビの武井咲さん、綾野剛さんが主演するドラマの原作も書いています。
これまで普通と思ってきたことが、実は普通ではないことを教えてくれる
森博嗣さんの本を読むと、「そんな逆転の発想しますか?」「何も考えずに生きてきたなぁ」と思わされることが多いです。
- 読んでいると、一般的に善と思われることが実は善ではないと問題提起されます。
- それでも森さんの考えはもっともだと思ってしまう説得力がこの本にはあり、森博嗣さんの思考ワールドに吸い込まれていく気分です。
以前に大学で研究をしていらっしゃいました。
- 研究するためには、資金が必要です。
- 国や企業から研究資金をもらうには、全国の多くの研究者が応募する資金獲得競争で勝つ必要があります。
- そのために「自分の研究内容が興味深い内容」ということを認めてもらうために説得力があるかつ興味深いことがわかる書類を作ります。
森博嗣さんの本を読んでいると、
- 面白いかつ他の人とは違った視点で物事を捉える
- 説得力のある文章で読む人を納得させる
という、科学者として資金獲得するときの文章の要素も感じられます。
本の概要
ところが集中することは、多くは機械的に作業するということではありませんでしたか?
AIやロボットの時代になれば、機械が得意とする単純作業は機械に任せて人間だからこそできることの価値が高まります。
- 物事を多面的に考え、アイディアや課題を見つけることは機械にはない人間の能力です。
- そんな時代には視野狭窄・木を見て森を見ずになりがちな集中ではなく、反対の分散・散漫力という全体を見渡す能力が必要ではないでしょうか。
つまり、集中するべきところと、人間ならではの能力を発揮するところを認識して使い分けることがこれからの時代に求められるのではないでしょうか。
勉強になったポイント
集中力が必要と教わった学生時代
学生時代の勉強やクラブ活動では、
- 勉強に集中しなさい
- スポーツの試合で集中!集中!
という言葉をよく耳にします。
確かに、一つのことに取り組んでいるときには、適当にするよりも気が散らない能力が必要です。
学生時代には特に、勉強やスポーツで評価されることが多いです。
社会人になっても職人さんは一つのことに長年取り組み、職人としての腕を上げていきます。
AI・ロボットの特長
他に人がする仕事があるからでしょう。
これからはAIの時代とよく言われます。
ロボットやAIの得意なことは、いわゆる単純作業やシングルタスクです。
- 特定のことや特定の領域のことについて実行するのは、ほとんどの人よりも正確で素早く繰り返し行うことができます。
- 人が長時間かかって淡々と行うことを代わりにしてくれます。
つまり、AIやロボットが得意な分野はできるだけ彼らに任せておいた方がいいですよ。
AI・ロボットの時代に必要な人間力
1つのことだけに取り組んでいると、その周りのものが見えない状態になりやすいです。
- 木を見て森を見ず
- 視野狭窄
という言葉があるように、全体を見渡す能力を持つことが重要。
もちろん、一つ一つをきちんとこなすことの重要性は言うまでもありません。
- 単純作業なら、AIやロボットの方が正確に素早く処理することができるでしょう。
- これまで集中して取り組んできたことはAIやロボットにとってかわられます。
時代の流れに順応する能力は必要です。
これからの時代は、AIやロボットが得意なことは、AIやロボットに任せて、人間にしかできないことを人間がすることが求められるでしょう。
それは、一つ一つに集中して頑張るのではなく、
- 全体を見渡す能力
- 人間として考える能力
だと思っています。
集中力というよりも求められるのは、分散力。散漫力。
そしてアイディアを生む能力です。
集中力と分散力を使い分ける
ほとんどの人にとってマルチタスクよりもシングルタスクが効率がいいというのは事実です。
- シングルタスクの方がはやくて、遂行能力があるからです。
でも、実際のわたしたちが住む世界はマルチタスクばかりです。
そんな時には、人間としてのマルチタスクの能力を常に使って全体を見渡して目的に向かって、一つ一つのことをこなしていく。
今回の本を読んで
- 集中=善
と、盲目的に信じることの危うさ。
集中することがなぜ大切なのか、本当に大切なのか考える必要があるでしょう。
それを知ることができました。
森博嗣さんの他の著書「お金の減らし方」を読んでもそうです。
- お金は増やした方がいいに決まっている
と盲目的に信じてしまうのでなく、
-
自分が夢中になれるものを見つけたくなる本『お金の減らし方』【書評その9】
続きを見る
そして、人間としての存在力を上げるためには、集中というよりも全体を見渡す能力、統率力、道徳観なのかもしれません。
この著者の他の作品
さいごに
森博嗣さんの『集中力はいらない』をご紹介しました。
盲目的に集中することがいいことと信じることは危険です。
今後AIやロボットの時代になるにつれて、人間に求められる能力は、集中すること以上に全体を見渡しアイディアを発想することです。
この記事がみなさんに少しでもお役に立てるとうれしいです。