それも毎月無理のない範囲で投資を続けて。
毎月5万円という額でも、30年という長い間「続ける」ことができれば7000万円ためることができます。
でも実際は毎月5万円ずつ投資していくときに、今や普段は可能でも自分の意志に頼っていると、
- 忙しい時
- メンタルが不安定になったとき
- ストレスがかかったとき
- 誘惑に負けて高い買い物をしてしまったとき
には意外と投資を継続するのが難しくなります。
投資を中断してしまうのを防ぐために必要なのは、毎月自分で投資手続きをするという自分の意志に頼らないで、自動投資の仕組みサービスを利用することです。
- カン・チュンドさん著の本『毎月5万円で7000万円つくる積立て投資術』
をご紹介します。
この本を読んで、
- 毎月5万円くらいの額を投資して本当に7000万円になるか?
- またそのために必要な自分の意志に頼らない投資サービスを利用する必要性
- わたしが5年前に読んだ時と、今との感想の変化
- そして何より大事な「投資のリスクを考えておく」重要性
をご紹介します。
著者のプロフィール
著者:カン・チュンド(姜 忠道)
投資信託クリニック代表
インデックス投資アドバイザー
- 1999年にファイナンシャルプランナーの資格所得
- 2000年に晋陽FP事務所設立、2019年に投資信託クリニックに改称
- オフィスの信用性を保つために、開業以来金融商品の斡旋や販売には一切タッチしていません。
- 賃貸住宅に住み
- 車は持っていない
- 唯一加入している保険はこくみん共済
と、資産運用の立場をしっかりと保って、自ら実践し、アドバイスをされているそうです。
金融機関や保険会社の職員の場合には誰もが(まれに例外があるのかもしれませんが)、商品を販売することで手数料をとり生計を立てます。
カン・チュンドさんのような自分の立場を中立に維持して相談を受けるというポリシーは、一貫性があり信頼できる方ではないでしょうか。
本の概要
毎月5万円ずつ積立て投資することで、30年後には約7000万円の資金を持つことができます。
- もちろん、適当に積立てるのではなく、プランを立てて積み立てる必要があります。
- そのためにはいくつかの注意が必要です。
なぜ7000万円積立てるのか?
夫婦2人で月35万円の生活費を
- 65歳(退職し年金をもらう年齢)~90歳(寿命の目安)の25年間
必要とすると、
- 35万円×12か月/年×25年の計算で
1億500万円必要です。
ただし、公的年金受給額が月10万円とすると、
- 10万円×12か月/年×25年の計算で
3000万円は年金でまかなえます。
すると、差し引きの約7000万円(7500万円)必要です。
積立て投資の詳細
毎月5万円、年2回のボーナス時20万円で、1年に100万円積立てます。
それを年利5.5%、30年運用する計算です。
65歳定年とすると、35歳から30年間積み立てたときに7000万円になります。
投資は手段であって目的ではない。投資する手間をかけない。
忘れてはならないのは、投資はあくまでも手段であって目的ではないこと。
往々にして逆になって投資することが目的になることがあります。
- 投資にワクワク感を求めないようにします。
- 投資に時間をかけないようにします。
有限な人生の時間を、投資以外の大事なことに使うべきです。
そのためには積立の自動化を行い、淡々と投資するのがとっても有用。
- 毎月の積立を自分で1回1回行うのではなく、給与の一部を自動的に積立てるという金融機関のサービスを利用するのです。
時間をお金を積み立てること以外のことに使ったほうが有意義な人生にするために重要です。
勉強になったポイント
投資の基本的考えは10年前も今も変わらない
2009年に出版されて10年以上たった今でも基本的な考え方は変わりませんね。
- 分散投資
- リスクを考える
- 投資を継続する重要性
わたしが2016年にこの本を読んだ当時にはわからないことばかりでしたが、今ではまあ分かります。
変わったことは、投資商品の信託報酬(%)です。
- この本で代表的な投資商品が紹介されています。この本が書かれた当時の商品は年0.3~0.8%でした(高い)。
- 当時と比べて今ではかなり信託報酬が低い商品がたくさんありますね。
- 以前よりも投資しやすい時代になったのでしょう。
投資計画(ポートフォリオ)を作るときにリスクをしっかり考える
この本が出版されたのは2009年。
リーマンショック間もない時期です。
そんな時期に出版された本では、リスクについてこの初心者向けの本でもしっかりと常識のように書かれています。
投資商品の基準価額が近年は右肩上がりです。
- 途中にいくつかの下落(ショック)があってもその後に比較的早く回復しているからです。
- そんな時期に投資していると、投資による年利等の利益ばかりに目が行きがちです。
リスクのことはついつい忘れてしまいがちです。
とくに55歳(定年まで残り10年)くらいになると、相応の資金となっています。
また残りの投資期間も長くありません。
55歳からは、自分の資産を守りつつ増やす(~減らさない)という慎重さが必要で、そのためには安全性を高めるようなポートフォリオへの変更方法が紹介されています。
この本を再度5年ぶりに読んでみて
投資商品が右肩上がりに上昇しているときこそ、リスクをしっかりと考えた上で投資することの重要性を再認識しました。
当時この本を読んで投資を始めました。
当時のポートフォリオはしっかりと債券の割合も決めて投資していましたが、最近は株式に偏って投資していましたので、注意しなければと反省しました。
そしてリスクを考えた上で、月5万円という投資(年100万円投資)で7000万円ためることができるということは、自分でも複利で計算するとやっぱりこれくらいになりますね。
何よりも大事なことは、
- 目標金額を決めて、それに向かって毎月どのように貯めていくかを計画し、毎月投資して実践することでしょう。
- 自分の意志で毎回ためていくと、途中で何かが起こると自分の弱い意志によってこの投資計画が中断されがちです。
- その予防のためにも、自動積立てのサービスを最大限利用するという、自分の意志に頼らない積立て方法を確立することが大事なのでしょう。
この著者の他の作品
この他に投資を始めた当初に読んだ本
-
【『バカでも資産1億円』を読んで】大事なのは道徳【書評#15】
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さいごに
カン・チュンドさんの本『毎月5万円で7000万円つくる積立て投資術』をご紹介しました。
10年以上前の本ですが、基本的な投資についての考えや方針は今と同じでした。
ただしリーマンショックが起こった2008年の翌年に出版されたこの本を読むと、
リスクを考慮したうえで投資する
という基本を再確認しました。
誰でも続けることができれば7000万円の資金を持つことができそうです。
そのためには続けることが大事で、実際は難しいことが多いです。
でも、自動積立てをして自分の意志に頼らない仕組み化のサービスを取り入れることで7000万円とうい目標を達成しやすくなりますよ。
もう一つ大事な点ですが、たくさんのいい本が最近販売されていますが、「リスクをきちんと考慮した投資」という基本を忘れないようにしたいと思います。
この記事では、自分自身への自戒の念を込めてこの本を紹介しました。
この記事がみなさんに少しでもお役に立てるとうれしいです。