「孤独になりたいですか?」
孤独という言葉には寂しいという感じがします。
- 「孤独死」という言葉もニュースでよく耳にします。
でも今の社会では逆に、「孤独」の時間は貴重であり自由の象徴です。
- SNSなどでたくさんの人とのつながりが普通に存在して、一人で考えるという時間を失っていますから。
森博嗣さんの著書「孤独の価値」
をご紹介します。
森博嗣さんは有名作家であるにもかかわらず、田舎であまり人と会わない生活をしています。
それでも毎日楽しく満喫しています。
まるで孤独を楽しんでいるかのように。
この本を読めば
- 孤独は、自分から遠ざけるものではなくむしろ獲得するような貴重なもの
- 孤独を感じたら、むしろ孤独な貴重な時間を使って創造的な活動をするチャンス
ということが分かります。
孤独は「自由」
森博嗣さんのプロフィール
著者:森 博嗣(もり ひろし)
- 小説家、工学博士。
- 名古屋大学工学部建築学科卒。
- 元名古屋大学助教授。
受賞歴(Wikipediaより)
- 1989年 ⽇本建築学会奨励賞
- 1990年 ⽇本コンクリート⼯学協会賞
- 1988年 セメント協会論⽂賞
- 1990年 ⽇本材料学会論⽂賞
- 1989年 ⽇本建築学会東海賞
と、大学の研究者としてたくさんの賞を受賞しつつ、350冊以上の小説をはじめとした著書があります。
エッセイは、今まで普通と思っていたことを自分自身で振り返り、本質的な価値や意味を読者が自分で考えるきっかけを与えてくれるものばかりです。
また3000坪の自宅の庭に庭園鉄道(ミニ鉄道)を自分で作って楽しんでいるそうです。
以前に書いた小説の1つの「すべてがFになる」はドラマ化されました。
武井咲さん、綾野剛さんが主演するドラマです。
「孤独の価値」の概要
孤独とは
一般に孤独は寂しい、悪いことだというイメージがあります。
なぜなら大昔の自然の中で生きている環境では、孤独ということは危険にさらされやすいことを意味するからです。
- つまり死につながる悪い状況にいるということ。
反対に仲間と一緒にいる状況というのは、楽しいし、リラックスできるし元気につながる効果があります。
ところが現代では孤独だったとしても死に直結するわけではありません。
それなのに孤独が寂しいと思ってしまうのは、漠然とした死を連想してしまうという人間の(太古からの本能のような)性質なのかも。
孤独は悪いのか
孤独を獲得することは自由を獲得すること。
- 孤独という状況はひどい状況ではなく、わたしたちが生きている現代では、むしろ意義のあること。
- 孤独な時間には、人間として考えたり創造的な発想をすることができます。
- 孤独な時間がむしろ少ない現代は、常に何かとつながっている状態になりやすいです。
例えば最近の情報化社会では、ネットなどを通じて常に多くの人々とつながっています。
その結果として貴重な孤独の時間を遠ざけています。
むしろその情報を遮断する(または遠ざける)ことができる力こそが重要であり、これこそが孤独になれる力。
物事を発想するという行為は、個人の頭脳によるものであり一人になった方が良いのです。
- その発想を実行する段階で、大勢の協力が加わり社会が成り立ってきたのですから。
- もし最初の発想の段階で多くの人がかかわっていたら、まさに「船頭多くして船山に登る」になってしまいます。
メモ
船頭多くして船山に登る
- 指図する人が多いと、かえって統率がとれず、目的とは違うところに行きついてしまうこと
孤独が良いか悪いかの二者択一で考えない
- 孤独と社会生活との共存を考えて、バランスよく生きる。
- どちらか一辺倒で生きるのではない。
孤独が良いから社会を拒絶するというわけでも、他者を無視するということでもありません。
わたしたちは常に社会の中に生きているのであって、社会への貢献や、他者への尊重の上に、自分の思い描いた自由(孤独)を築く必要があります。
著者の森博嗣さんも田舎で家族以外とはほとんど会わずに孤独を楽しんで生活しています。
そうであっても社会の中に生きているし、いろんな人に世話になって生きているそうです。
2つのポイント
孤独の時間を大切に
だとすると、考えるのは主に一人ですることであり、孤独ということは人間らしく生きるということ、つまり考えるためには重要なことではないでしょうか。
わたしたちがいま生きている社会は、モノや情報、人とのつながりで満たされた「おなか一杯」の状態。
そんな中で少しおなかを空かせて、一人になって考える時間、つまり孤独な時間を持つのは貴重で贅沢なことです。
モノ・人・情報であふれている中で大事なことを失わない
最近では
- ネット断ち
- スマホ断ち
- ミニマリズム(ミニマリスト)
- マインドフルネス
という言葉をよく耳にしますし、気になります。
マイクロソフトを創業したビル・ゲイツ氏もマイクロソフトを経営していた頃であっても、読書のために1週間別荘に籠っていました。
今の時代にはたくさんのモノや情報にあふれています。
そんな中で、敢えて孤独の時間を持つのは、かえって贅沢なのかもしれません。
孤独を寂しく感じる必要はありません。
- いずれにしても社会と完全に断絶して生きることはできませんから。
- 孤独感をいだいている人であっても、社会の中に生きています。
とするとそんな人がいだく孤独はそんなに悪いものではなく、むしろ孤独の状態を生かして、考えたり、自分がしたいことをできるチャンスです。
森博嗣さんの他の作品
さいごに
森博嗣さんの「孤独の価値」をご紹介しました。
孤独という言葉から受けるネガティブなイメージは、一種の社会で作られたイメージにすぎません。
むしろ孤独の時間を作り有意義に利用することは、創造的で人間らしい価値を生み出すチャンスです。
この記事がみなさんに少しでもお役に立てるとうれしいです。
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