人生の中で自分のお金をどう扱っていくのがいいのかということはこれまで学校で教わることはありませんでした。
- 依然として「金儲け」という言葉にはマイナスのイメージがあります。
- そのためみんなの前でお金の話をするのは躊躇してしまうことが多いです。
でも、ようやく2022年から高校で「資産形成」の授業を取り入れるようになります。
そんな日本で、山崎元さんは
- 多くの金融機関(資産運用)で働いた豊富な資産運用の経験をもち、
- 個人の資産形成について、ずっと早い時期から大学で授業をしてきました。
- 山崎元さんの本『学校では教えてくれないお金の授業』
をご紹介します。
わたしたちの身の回りに銀行やファイナンシャルプランナーなどの相談に乗ってくれる専門家は数多くいます。
でも彼らは必ずしも私たちのベストのお金の扱い方をおすすめしてくれるとは限りません。
そんなときにこの本はおすすめです。
これまで学校で習っていなくても人生の中で切っても切り離せない中の「お金」とどう付き合っていくべきかを学校の授業のように知ることができます。
この本は、お金とうまく付き合いながら自分の人生を歩むのにピッタリの本です。
著者のプロフィール
著書:山崎 元(やまざき はじめ)
経済評論家(資産運用)
楽天証券経済研究所客員研究員
獨協大学経済学部特任教授
マイベンチマーク代表取締役
東京大学経済学部卒業
三菱商事、野村投信、住友信託、メリルリンチ証券で働いてきました。
また、獨協大学では「金融資産運用論」という講義を行い、個人の資産運用を大学生に教えています。
多くの金融機関で働き、さらに大学で個人の資産運用を教えているというたくさんの実績があり教育者でもある山崎さん。
この本ではそんなプロ中のプロに「お金」の授業を受けることができます。
本の概要
お金は身近なものです。
- でもお金については学校でも習いません。
多いに越したことはありません。
- よく知らないでお金を管理して増やそうとすると、だまされたり、損をしたりします。
そんな中に、
金融(資産管理)と金融教育のプロの著者が、
- お金
- 銀行や証券会社
- 人生での大きな買い物(マイホーム、生命保険、自家用車)
などの、多くの人が日常で経験するお金に関係したモノや金融機関との付き合い方
さらには
- 株式投資の考え方や
- ギャンブルについてさえも
例えば、
お金のことを金融機関(銀行やファイナンシャルプランナー)に相談するのも要注意で、
本文から引用
“「客を儲けさせる」のではなく、「客から儲ける」のが金融機関の仕事”
とこの本で書かれています。
この本の著者の山崎さんは、いくつもの有名な金融機関で働いてきたプロです。
まさに金融機関で働いてきた山崎さん自身が「客から儲けるのが金融機関の仕事」言っているくらいですから、真実味が増します。
同じように、
マイホームについても持ち家がいいか、賃貸がいいかについても、どちらがいいというわけでもなく良い点悪い点があることが強調されています。
よく、賃貸でお金を払い続けても何も残らないが、ローンで家を買ってローンを払い終えれば資産が残るのではないかと思いがちです。
でも、そんなうまい話はなく、
- 理論上は買う場合も借りる場合も、市場メカニズムでちょうどトントンになるようにバランスをとっているはず
- 賃貸のメリット、持ち家のデメリットがある
ということもこの本では優しく教えてくれます。
興味深かったポイント
意外にもギャンブルの心得が紹介されている
ギャンブルというと普通は負けるシステムになっているため手を出さないほうがいいように思いますが、著者は競馬ファンでギャンブルは好きな方のようです。
ただし、節度を持って。
本文から引用
“ギャンブルでお金を増やせると考えるべきではありません”
と書いています。
ギャンブルとは基本的にはお金を「増やす」ものではなく、「使う」ものです。
- 例えば宝くじは50%以上は開催機関にとられてしまい、勝つ確率が悪いものの代表です。
- 競馬も25%は組織の取り分となってしまいます。
そうであっても、ギャンブルをすることで、
- 自分が真剣に考えたことでも間違っている可能性がある
- それでも決断しなければならない状況にどう立ち向かうかという人生の練習をギャンブルで短期間に学ぶことができる
と、ギャンブルからも学ぶことが多いというメリットを紹介しています。
ギャンブルに対する考え方は人ぞれぞれかもしれません。
リスクから投資を考える
投資する場合には、ついついその利益を増やすいことばかりに目が行きがちです。
でも大事なことは、
- 投資するときには、いくらまでなら損をしてもいいのかあらかじめ考えておく
- そのリスクの範囲内で投資する
ということが大事な心得だとプロが言っています。
大事なことは、
- 利益ばかりに目を向けるのではなく、
- 損の計算をして最悪の事態に備える
こと。
例としてこの本では目安として、
マイナス2標準偏差を最悪のリスクとして想定することが多いことを紹介しています。
- マイナス2標準偏差とは、受験の時に耳にする偏差値30に相当します。
- この2標準偏差よりもさらに株価が下がるのは2.3%の割合になるそうです。
例えば、
先進国株式の期待リターンが5%、損するリスクが20%とすると、
- 最悪の場合には、5%―20%×2=35%損する可能性を想定しておかなければならないということです。
- 例えば400万円投資していれば、その35%、つまり140万円損する危険性。
はじめに自分が耐えられる損の額を考えた上で、逆算して投資額を決める必要がありそうです。
この著者の他の作品
さいごに
山崎元さんの本『学校では教えてくれないお金の授業』をご紹介しました。
わたしたちが人生の中で遭遇するお金に関わる出来事について、プロが丁寧に教えてくれる本です。
大学で学生さんに個人の資産運用についての授業をされている方の授業を、約1500円の本台という安い費用で受けることができます。
満遍なくお金についての知識や考え方を知ることができるスタンダードな本です。
- 一部の知識しか知らない
- 偏った知識しか知らない
場合には、今回の教科書のような本を読んで手元に置いておきたくなります。
この記事がみなさんに少しでもお役に立てるとうれしいです。