年を取ったときに、職場で求められる能力は何でしょうか。
だんだん職位が上がっていくと、事務仕事が増えるため必ずしも最先端の現場で働き続けることはできなくなります。
そんな中に同じ職場に優秀な部下が来て、仕事上は部下の方が優れている場面には普通に遭遇します。
上司は優秀な部下に負けてしまうのでしょうか?
普段から人間力を磨くことこそ大事なのかなと最近は思っています。
そして、職位なりの方向性が違いますので、
上司は部下と同じ方向をみながら、常に全体を見渡す能力が必要なのではないかと思っています。
身近でよく聞く話
職場で専門領域が同じ分野の上司(部長)と部下。
上司は定年間近で、その道30年以上のベテランです。
そこに部下が異動でやってきて一緒に働くことになりました。
部下は働き始めて5年程度で最先端の知識や技術を身に着けて自信をつける頃の年頃です。
上司と働き始めて「1ヶ月で上司のレベルを追い越した」と、その部下は自信満々に豪語していました。
これは正しいことでしょうか?
そして、それが正しければ、上司は存在意義がないのでしょうか。
部下はまだまだ経験不足の可能性
働き始めて5年ほどでめきめきと力をつけてくるのは確かです。
それでも、日常によく起こるような典型的なことについては自信を持っているかもしれませんが、イレギュラーなことが起こったときに対応できるのがプロです。
その酸いも甘いも経験してきた上司には、経験が重要な仕事の場合には特にかないません。
また、
- 若いうちは世の中をあまり知らなかったり、関係部署の雰囲気を知らなかいことがほとんどです。
- そして、実際の現場では理屈では正しいことを常に行うことができるとは限りません。
加齢と才能・技能
実際のところ、年を重ねると、才能や技能というものは、だんだん衰えます。
過去の技術は新しいものに置き換えられ、時代とともに発達するのが普通です。
- 根本的な原理は変わらなないことが多いでしょうから、歳を重ねてもある程度は分かるでしょう。
- でも、実際の最先端のこと・実務上のことは現場にい続けなければわからなくなります。
- 上司になれば、事務業務など多忙のため、現場100%で若い人と同じように働くことは少なくなります。
- また、時流に乗っていくことも大切で、その時には若い方が時流に乗ることは容易です。
職場でも、技術や知識量はある程度年数を経過した若者のほうが、年配の人よりも優れている場合が多くなります。
上司に必要なことは何でしょうか?
では、上司には何が必要なのでしょうか。
仕事の実務面での技術や知識量が部下よりも年々劣ってくるというか、置いてけぼりにされるときに、上司としては何の役割で存在しているのでしょうか。
上司が上司たる所以、つまり若者がついていきたいと思うのは何かというと、
技術ならいつの間にか年下に追い越されてしまいますから。
- 人間の根本の精神面から得られる信念や器量。見識。
- 周囲の意見をまとめて、責任を持って物事を遂行する能力。
- また、全体を見渡すことができる広い視野を持つこと。
若いうちは、技術や知識を身につけることに目が行きがちです。
- もちろん、職場や仕事に慣れるためには、一つひとつのことができないといけません。
- つまり、一つのことに集中していればいいのです。
それが、上司になると、全体を見渡すことができる能力が必要でしょう。
また、自分であれこれすることは時間的にも成約がありますし、技術面でも最新の技術となると現場が一番知っている。
- そのため、上司としては信頼できる人と信頼関係を築いていて、困ったときにはその人に頼むことができるような人との信頼関係を持っているかも大切ではないかと思います。
- そして、責任は上司が持ちつつ現場に仕事を任せることができる体制づくり。
上司は人間らしさが求められる
今後AIが発達するにしたがって、知識を持っていることはそれほどのアドバンテージにはならないと思います。
複雑な技術はまだまだかもしれませんが、技術面では、単純作業はロボットやAIに変わるかもしれません。
つまり、技術面の特化に集中するというよりも、全体を見渡す能力などの人間ならではの能力が上司には問われるのではないかと思っています。
そして徳というのは人間ならではの一種の才能だと思います。
この徳を積むというのは大事なことで、表面的な仕事をする、お金を稼ぐなどというよりも、それを介して真理を身に着けていくことが大切なのかもしれません。
自分自身への戒めですが、
- 技術や知識を維持する、向上させるということ以上に、
- 経験を積み酸いも甘いも噛み分ける
- 人間として徳を積む
- 周囲などの全体を見渡す広い視野を持つ
- ビジョンを持ち、それに向かって全体をまとめて目標を達成する
といった、ロボットやAIではできない人間らしい存在こそが上司たるゆえんなのかもしれません。
さいごに
コンピューターなどのデジタル技術が発達するにつれて、新しい技術が注目されています。
そうであっても、年々その技術は変化しますし、若い人のほうが新しい技術の習得に長けていることが多いです。
そんな中に、上司が職場での存在意義を持つためには、経験や徳を積み、人間らしさを磨いていく必要があるのだと思っています。