なんとなく言葉を額面通りに受け止めて、誤解していることは多いなぁと思った出来事がありました。
数か月前に仕事で、事務系の職場を訪問しました。
ちょうどその職場が引っ越ししたばかりの時でした。
その職場の役員(上司)が職場改善の一環として
「風通しのよい職場づくりに取り組んでいます」と熱く語っていました。
以前の職場は古くて小さな建物でした。
- 地震が起きたら危ないんじゃないかと思うくらいの。
- その建物の中に小さな部屋がたくさんあって、上司は個室に、そして現場で働く職員はごみごみしたところで各自のデスクで仕事に取り組んでいる状態でした。
新しい職場はワンフロアに、上司も部下もデスクが整然と並んでいる状態。
- 個室は応接室くらいでした。
- 見晴らしもよく、見た目はとてもきれいになりました。
- 古風な事務所から、現代的なオフィスに様変わりです。
- それこそおしゃれなテレビドラマに出てきそうなくらい。
- 「風通しのよい職場」というスローガン
- ワンフロアに整然とデスクが並んでいる状態
は、一見するとすがすがしくて気持ちいいものです。
ところが立場がちょっと下の中間管理職の人に話を聞くと、新しい職場は絶不評。
理由を聞くと、新しい職場環境では、上司やあちこちから、簡単に声をかけられやすくなり、さらに仕事を依頼されるようです。
「これはどうなっているの」
「これお願い」
するとどんどん仕事が溜まり、手が回らなくなるから困っちゃうと。
引っ越しする前から仕事が忙しく、なんとか集中して仕事をこなしていたのに、新しい職場では特定の人にさらに仕事が集中する結果、仕事に支障がでてしまったのでした。
本来は風通しの良い職場というのは、ハード面ではなくお互いにモノを言える関係の職場です。
ところが、今回訪問した職場は上司にとっては風通しがよくなるものの、部下にとっては風通しは良くないようでした。
漠然とした「風通しの良い職場」という良いイメージの言葉に、惑わされてしまったような気がします。
これなら「風が入らない場所も作る」くらいの臨機応変さがあってよかったのかもしれません。
風の流れを作るくらいの。
そして台風くらいの風もあるでしょうから。
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